海外安全こぼれ話

2014.1.7
大日方和雄監事
人種の差

海外に行くと思わぬ事に出会いびっくりしたり、困惑したり、楽しみはたえない。 これは2昔以上前、実際にあったことである。

アメリカに駐在している日本人の奥さんが、転居後間もなく子供の検診を目的としてアメリカ人医師の小児科医院(Clinic)を訪問した。医師は愛想良く診察を始めたのだが、子供の尻にある青「アザ」を見て、母親、或いは両親からdomestic violence をうけたに違いないと判断して、警察に通報。あわれお母さんは警察に連行され、厳しい取り調べをうけることと相成った。もちろん、日本人夫はおっとり刀で駆けつけ「アザ」の由来について説明にこれ務めたが、なかなか理解してもらえず、問題解決にはかなり時間を要した。その間乳飲み子はといえば、両親から引き離され、見ず知らずの大人どもがいる保護施設に収容され、分からぬ言葉とも相まって心細い状態におかれる結果となった(こっちの方が大人によるViolence だ!)。

ご想像の通り、この青「アザ」は、いわゆる「蒙古斑」(Mongolian spot)で、われわれを始めアジア系の人種(いやな言葉だが黄色人種と呼ぶ)の新生児に見られ、大体6歳頃までには消えてしまう。Violence とは何の関わり合いもないのだが、件のアメリカ人医師は、小児科医であるにも関わらず、このことを知らなかったのである。医師が知らないことを警察官が知っているはずもない。日本人夫妻は四苦八苦の末ようやく疑いを晴らすことができたのであるが、その間の労力たるや、想像に絶する。 いやはや、無知な者が権力をにぎるということは、誠に怖いものである。