海外では日本と同様のリスク、日本ではあり得ない事態も発生する。安全安心して渡航、帰国するための渡航前の準備について紹介したい。当たり前のことを基本にしっかりおこなうことがリスク回避・被害低減には大事である。
家族に渡航に関する情報を伝えておく。会社・旅行会社など関係者の連絡先、渡航情報など(便・宿泊先・関係先)。連絡が取れるよう海外でも使用可能な携帯電話を持参する。会社関係者にも同様に伝えておく。会社に仕組みがあればそれに従う。万一日本から連絡を取りたい、渡航先で緊急事態が発生しても所在が分かり連絡も取れる。
渡航先の状況を知る。外務省海外安全ホームページ( http://www.anzen.mofa.go.jp/ )の閲覧を勧めたい。渡航国の「危険情報・スポット情報及び医療事情」には目を通してほしい。また7月から開始された同HP「たびレジ( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )」に登録し緊急事態時外務省からタイムリーに情報が届くようにする(詳細は同HPを参照されたい)。どのような視点から渡航国の情報に接するか紹介したい。領域としては治安、政治社会情勢、災害、衛生医療事情など。治安ではどのような犯罪・手口があるか、すり・置き引き・ひったくり・強盗・詐欺など。どの地域、時間帯で発生しているか、など。政治社会が不安定な国ではどのようなことがどの地域で発生しているのか。どのようなことに注意、行動すればよいかが掲載されている。予め状況を知り、予防・対処の方法を知っておくと被害に遭いにくく、いざの時冷静に行動できる。これが肝要である。
30年程前の犯罪被害未遂事例を紹介したい。パリ滞在中、日曜の朝運動不足を兼ねホテル周辺を散歩していたところ正面から歩いてきた12才位の少女ふたりにいきなり襲われ上着の内ポケットから旅券を盗られた。時間はせいぜい1~2秒あっと言う間の出来事。私は直ぐに旅券を盗った少女を追いかけた。結果少女に追いつき旅券を奪い返した。あとで現地の友人に話したところ「あなたは運がよかった。追うべきではない。近くで親など犯人集団が見張っている可能性があり、襲われなかったのはラッキーだ!」と忠告された。ぞっとした記憶がある。このような際どうすればよいか、予め事例、対処を知っておくとより安全な行動が可能となる。