海外安全こぼれ話

2014.3.14
大日方和雄監事
スリ名人架空インタビュー

海外に行くと思わぬ事に出会いびっくりしたり、困惑したり、楽しみはたえない。

これはあるヨーロッパ人老スリとのインタビュー(架空)である。

(Q)スリ歴が大変永くて、ずっと捕まらなかったのに最後に捕まってしまった。
(A)最後にヘマしちまった。財布をすられた女が直ぐに気付き、あんなに騒ぐとは思わなかった。おかげで飛んできた警察官にご用!さ。もっとカモを選ぶべきだったなー。

(Q)今までおもにどんな手口でやってきたの?
(A)金を持っていそうな奴の隙を見てスリ盗ってきた。カモを見分けるのは簡単さ。先ず、足下が定かでなく、ウロウロしていて、あたりをきょろきょろ見ているのは、大体カモだね。そんな奴はズボンの尻ポケットに財布を入れている、背負っているナップザックのポケット部分に財布がある、胸のポケットに紙幣をむき出しにしている、ことが多い。おいしい獲物だ。また、カフェやバーで話に夢中になっている連中が脇に置いた鞄を開けて財布だけを戴いた。長距離バスや列車では居眠りをする旅行者が多いので、簡単に財布やカメラが盗れた。日本人からはパスポートも盗ったが、その筋へ持って行けば高く売れた。これはカメラや携帯のようにかさばらないので割が良かった。カモが抱えた鞄の脇の柔らかい部分をカッターで切り財布なんかを抜いたこともあったが、刃物はあまり使いたくないね。日本人の夫婦では、財布は女の方が持っていることが多いが、どうして弱い者に財布を持たせるのかね。スリだって抵抗されれば怖いから、カモが2人いれば体力的に弱い者を狙うよ。その弱い者が大金を持っているのだからたまらないね。何人かで組んで、1人が後ろからカモの体を押して注意をそらせ、前にいた者が財布を抜き取り、脇にいる仲間にそれを渡してその場を離れさせる。もしカモが気付いたら仲間で囲んで、スった者や財布を持った者を追わせないという、荒っぽい手口が多い。5,6人の子供を使ってまといつかせ、その中の1人がスルというのもある。

教訓1.財布類は体に付けておき、外から分からないようにする。ジャケットの内ポケットに入れておくのも良いが、ポケットのボタンをかける。ズボンの尻ポケットは飾りと考えて物を入れない。

教訓2.ナップザックは狙われやすいと思うべし。そのポケットに財布・パスポート類は入れない、例えチャックをかけていても役に立たない。

教訓3.人前で居眠りをしない。夜汽車や夜行バスに乗るときには、財布類は体の内側にしまい込む。