海外に行くと思わぬ事に出会いびっくりしたり、困惑したり、楽しみはたえない。 これはロンドンで実際にあった話である。
OLのO嬢はロンドンの支店に派遣されて張り切って働いていた。ある日、仕事も終わり誘われるまま会社の先輩達とパブに立ち寄った。大きなテーブルに寄り、持っていた鞄を足下に置いて、ビールなどを飲みながら、みんなとミュージカルやオペラのおしゃべりをし、ついでに上司の悪口もちょっと話題にした。さて、話は尽きないが、良い気分になってきたので帰ろうと足下の鞄に手を伸ばしてみたが、何と鞄がない!あちこち探したが見あたらない!結局置き引きにあったのである。多分、同じテーブルの別コーナーにいた者が足で鞄を引き寄せ、帰りしなに持って行ったのだろう。
日本食を出す店で、同僚と一緒に飲み且つ食い、楽しく過ごしていたが、いざ帰るときになって椅子の背にかけておいたショルダーバッグがなくなっていた。あるいは、座っている椅子の脇に置いた鞄が消えていた。こんな話は良く聞く。
ホテルをチェック・アウトし、ロビーで空港へ行く車を待っているときに、ソファーの脇にいた外人が話しかけてきたので、そっちを向いて少し応答して話し終わってから脇に置いたブリーフ・ケースを見たら、いつの間にか消えていた。盗難品は他にカメラなど様々である。同じような手口で、場所が空港の待合いロビーのこともある。
手荷物をおいた隙に持って行かれる事件は本当に多い。犯人の仲間が話しかけるなどして持ち主の注意をそらせその隙を狙う。あるいは、日本と同じように安全だと思い、ちょっとだけだからと手荷物をおいて席を立って、戻ってきたらなくなっていた。
一般的に言えば、日本の治安の良さはむしろ世界では例外的なのであって、世界の常識で考えれば、目を離した品物は先ずなくなると考えた方がよい。
今日もまた何処かで手荷物を置き引きされ、悲嘆に暮れる人がいることだろう。
どうか、貴方がその人にならないよう、八百万の神々にお祈りします。