海外安全情報マニュアル

安全なドライブを楽しむために

海外旅行の形態もパッケージツアーが主流だった頃に比べ、最近では個人旅行、フリーツアーが増加し、レンタカーを移動手段とする旅行者が急増してきました。それに伴い、自動車事故にあう旅行者も増えています。 ここでは、レンタカーを利用することでさらに楽しく快適な滞在を過ごしていただくため、自動車運転に関わるトラブル回避の留意点について紹介します。


レンタカーを借りる際の注意点

渡航前の準備と調査

海外でレンタカーを借りる場合は、国際免許証、日本の免許証、支払いの保証という意味でクレジットカードを必ず携帯しましょう。国際免許証は、日本の免許証を持っていれば、現住所のある都道府県の運転免許試験場か公安委員会で取得できます。有効期間は1年間です。ただし、国際免許証で運転できる国は、道路交通条約締結国に限られます。また、国によって車を借りることのできる年齢は制限されていますので、渡航前に関連法規や現地のレンタカー事情を調べましょう。

任意保険には必ず入って下さい

海外でレンタカーを借りると自動的に自動車損害賠償保険に加入したことになりますが、この保険の補償額は驚くほど低額です。従って、借りる際には任意の追加保険である追加対人対物保険(ALI)に必ず加入しましょう。
自損事故で怪我を負い、高額の医療費の支払いに苦労される方が少なくありません。運転者を含め、同乗者全員が補償の対象となる搭乗者傷害保険(PAI)にも加入しておくことが必要です。

安さに惹かれてレンタカーを選ばない

レンタカー会社といっても、世界中にネットワークをもっている大手から、その都市にしかない中小の会社まで形態や規模は様々です。料金の割安感に気を引かれレンタカー会社を選ぶと、車のコンディションに問題があったり、トラブルの原因になることもあります。多少割高でも信用のおける会社を選ぶことが賢いレンタカーの利用法です。

安全運転のための基礎知識

疲労は大敵、早め早めの休憩を

大事故の3分の1はドライバーの疲労が原因と言われています。ただでさえ、海外旅行ということで疲労がたまっている状態ですから、体調管理には十分気を配り、無理のないスケジュールで運転することが大切です。また、長距離ドライブをする場合は、身体と車、両方のコンディションを考慮し、1時間に10分程度の間隔で休憩をとることをおすすめします。

シートベルト着用は常識

日本人旅行者の自動車での死亡事故の大半は、シートベルトの不着用が大きな原因となっています。日本の国内でもシートベルト着用が義務付けられていますが、日本と異なる交通事情の中で事故が発生した場合、重大事故となる可能性が高いので、海外では運転席、助手席はもちろん、後部座席に座っている人も、必ず全員がシートベルトを着用することを心がけましょう。

飲酒運転は当然ながらご法度

日本でも飲酒運転の取締りが厳しくなりましたが、海外では殆どの国で飲酒運転は処罰され、日本よりも厳しい国がたくさんあります。特にアメリカでは千ドルを超える罰金や48時間もの拘束など、飲酒運転には厳しい制裁が待ち受けています。罰則が厳しい、厳しくないに関わらず、飲酒運転は判断力の大幅な低下から大事故を生む可能性が最も高い要因です。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という鉄則を守ることです。

慣れない夜間運転は事故のもと

日本と交通事情の違う海外では、特に慣れない夜間運転は、危険がいっぱいです。一歩郊外に出ると、夜は真っ暗で標識もほとんど見えないところが多くあります。事故に遭遇する割合も夜間が多いので、夜間のドライブはできるだけ避けることが賢明です。
治安の悪いところでは、夜間ドライブ中の車を狙った強盗もたくさん発生しています。夜間運転をする場合は、事故と犯罪の両面から細心の注意が必要です。

現地の交通ルール、交通事情を知っておく

交通ルールと標識は事前の確認を

海外で運転する前に、必ず確認しておきたいのがその国の交通法規と標識です。自動車通行の右側、左側の違いは当然ですが、特に交差点(右左折)のルールは国ごとにより違います。例えばオーストラリアでは同じ国でもシドニーとメルボルンではルールが違うなど、事前に十分な確認が必要です。
例えば、左側通行のオセアニアでは日本と同様、赤信号では左折はできませんが、右側通行のアメリカでは多くの州で、赤信号でも一旦停止後、右折ができます。また交通標識も国よって表示形式が違いますので、旅行中の主な交通標識を事前に習得しておくことが必要です。

日本と大きく違う道路事情

幹線道路以外ほとんど舗装されていない場合や、信号や標識が少ない国など、道路を取り巻く状況は、国によって様々です。また、自転車や歩行者が車道を通っているような国も多くあります。
積雪地帯でも除雪をほとんど行わないといった地域、路肩の整備が非常に悪く少しでも路肩に入れば横転するといった道路環境の整備されていない地域も存在します。そのような地域では、基本的に運転は控えた方が賢明ですが、運転する場合は事前に道路状況を必ず調べておくことが大切です。

安全運転のつもりでも油断は禁物

いくら現地の交通ルールに従って運転していても、運転マナーの悪いドライバーのせいで、思わぬ事故に巻き込まれることがあります。国によっては、飛び出しや信号無視、急停車など日常茶飯事のところもあります。また、右左折の時に方向指示器を出さないドライバーも見受けられます。
自分がルールを守っているからといって安心せずに、日本にいる時以上に慎重な運転をこころがけましょう。

国によってスピード表示が違う

アメリカなどではマイルのスピード表示に戸惑う方が多いかもしれません。時速55マイルは時速88キロ、同じく65マイルは約104キロに相当します。アメリカでは州によって法定制限速度が異なりますので注意が必要です。国ごとのスピード表示を把握し、安全運転に心がけましょう。

慣れない自然環境に注意

慣れない自然環境の中では、悲惨な事故が突然起こります。例えば、砂漠地帯では突然起こる横風や砂塵による事故が発生しています。アメリカやオーストラリアでは、広大な平原の道でも深刻な事故が多発しています。居眠り運転やオーバースピードが原因となる場合も多いようですが、自然に囲まれた土地では、道路に動物が飛び出してくるケースもあります。動物マークの標識のある場所ではスピードを落として走行することが大切です。

もしも事故を起こしてしまったら

「街中で歩行者に車をぶつけてしまった」「車同士でぶつかった」・・・。

万が一、こうした事故を起こした場合、先ず最優先で対処すべきことは、負傷者の救助です。相手が負傷していた場合、自分が元気であれば、まず救急車を呼ぶ、救急車が到着する前の応急措置をする、などの対応をする必要があります。例外として、一部には交通事故の加害者を集団で取り囲み暴行を加える地域もありますので、瞬時の周囲の観察が肝心です。
また、わざと車をぶつけて、車から飛び出したところを襲う強盗犯罪など、無条件に車から降りることが非常に危険な場合もあります。こうした犯罪が多発している地域については、事前に確認した上でケースバイケースの対応が必要です。

自分一人では解決しない(レンタカー会社、保険会社に連絡を)

事故の現場で、自分が悪くないのに、無意識に謝ってしまうと、自分の非を認めたことになりかねません。これが、事故処理後の裁判などで不利に働くことも考えられます。
事故に遭遇した場合は、まずは落ちついて状況確認をしっかりと行いましょう。事故の当事者同士で運転免許証や身分証明書などを見せ合い、連絡先を控えます。素人の直談判は後々の事故処理に際し、トラブルの原因となります。
速やかに警察、レンタカー会社、保険会社(現地・日本)などに連絡をとり、指示が出るまで、当事者同士の議論は控えることが大切です。レンタカー会社には所定の事故報告書が用意されているので必要事項を記入して24時間以内に提出します。この報告書が保険金請求の時に重要な役割を果たします。
海外旅行傷害保険に加入している場合は、現地スタッフが間に入って、こうした手続きの支援をしてくれることもあります。