渡航先の法律や規則、風俗や習慣を理解していなかったために、日本人がトラブルに巻き込まれるケースが頻繁に発生しています。日本では些細なことでも、外国では非常に重い犯罪であったり、その国の人から見ると信じられない行為ということはよくあるものです。
これらのトラブルに巻き込まれないためには、まず渡航先の国についての知識、情報をしっかり身につけておくことが大切です。
禁制品の持ち込み、持ち出し
事例. 持ち込み品のCDやFD
海外出張した国で、入国時の通関(荷物検査)で、荷物の中に入れておいたCD、パソコン用フロッピーディスクが発見された。内容検査のため、預かり証と交換に空港税関事務所に赴いたところ、CDの中に税関上違法行為の疑いがあるものが含まれていた旨告げられ、当局に拘束されてしまった。
※国により禁制品は異なりますので、旅行前に必ず確認を取る必要があります。禁制品の中には、国によりますがCD-ROM(RW)、FDなど、昆虫、骨董品、酒、わいせつ本(日本では、いわゆる「わいせつ本」と言われなくても日本の一部週刊誌や漫画本もその対象となるものがあります)など様々なものがあります。
●入国時、すべての荷物を開放検査し、税関上の違法物品に対して厳しい取締りを行っている国があります。悪質と判断されれば、品物の没収だけでは済まず法律違反として拘束されることがあります。
持ち込み品がその国の法律に違反していないかよく調べて持ち込むようにしましょう。
●「見つかっても没収されるぐらいだろう」などというような考えは決して持たないでください。
持ち込み、持ち出し禁止(制限)品目や出入国時の外貨申告制度など、出入国に関わる規制を正確に情報入手し、それを守ることが必要です。
●特に、最近、テロ対策のため、この検査が厳格になっている国が増えておりますので注意いが必要です。
●テロ対策の関係で、航空会社は出発国や経由地を含む到着国の法令に従い、機内への預け入れ荷物や持ち込み荷物の規制が厳格になっておりますので、この点にも注意が必要です。
写真撮影
事例1. 風景を撮影
旅行先の国で夜景がきれいな港があり、その港の風景を撮影していたら、警察官が近づいてきて、ここは撮影が禁止されている区域であると告げられ、カメラ、フィルムを没収されてしまった。
事例2. 空港付近での撮影
空港付近で航空機の離陸シーンを撮影しようとホームビデオを構えていたら、警察車両が近づいてきて、身柄を拘束されてしまいました。その空港は、軍用でもあったことから、撮影を厳しく禁止されている施設でした。
●多くの国では、軍事施設をはじめ、港湾、空港、大統領官邸など保安上重要な公共施設の撮影を制限しています。また、美術館などでは撮影を許可制あるいは有料制にしている国もありますので、予め撮影が制限されている場所をチェックしておく必要があります。
また、本人がちがうものを撮影しているつもりでも、制限されている対象の付近で撮影していると、禁止行為とみなされることもあるので注意が必要です。
●国民性、民族性などから、現地の人が無断で撮影されることを非常に嫌がる場合、有料でなければ認めない場合があります。無用なトラブルを避けるためにも、海外で他人を撮影する場合は、必ず本人の了解を得ることが必要です。
●特に、最近は携帯やスマホのカメラ機能が発達し、どこでも気楽に撮影ができるので、安易に考えないよう注意しましょう。
宗教や習慣
事例1. 子供の頭をなでる
現地の子供がとても利口で可愛いので頭をなでたら、その親から厳しく叱られた。
事例2. 話の最中に足を組む
椅子に座って、現地の方々と話をしている最中に足を組んでいたら、大変な不快感を示された。
事例3. 派手な服装
派手な服装の女性旅行者が、寺院で入場を拒否された。
事例4. 自分の子供をぶつ
デパートで買い物の途中、言うことを聞かない子供を母親が厳しく叱り、平手でぶったところ、それを見ていた現地の人が警察に通報し、警察官がやってきて、児童虐待の疑いで取り調べを受けた。
事例5. 自分の子供を車の中で待たせる
スーパーの買い物の際、子供を車の中で待たせておいたら、児童虐待の疑いで拘束された。
●日本では気にすることでもないことが、海外ではタブーとされている行為がたくさんあります。特に、その国の宗教を否定したり、侮辱と受け取られる行為は、相手に不快感を与えるだけでなく、法律で厳しく規制されているものもあるので、注意しなければなりません。また、多宗教、多民族で構成されている国では、それぞれの人が独自の宗教、習慣に基づいて生活している場合や地域によって習慣が異なる場合もあり注意しましょう。
どの国でも王室や国旗に対する敬意、国歌斉唱の際に不動の姿勢を保つことは最低限のマナーであり、国によっては法律で不敬罪にあたることもあります。
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渡航前に、渡航者にとって必要なその国の法律や習慣をしっかり把握し、旅行中はその国や地域の習慣に従うこと、「郷に入れば郷に従う」という心がけがトラブル回避の鉄則です。